優しげな声色の一本槍

今日の勤務中、電話での問い合わせが多かった。まあ〜多かった。

電話対応に苦手意識がある。しかし、あちし、電話苦手なんす、、とか言う自我をいちいち相手にしてられないくらいひっきりなしにかかってきた。

 

電話を取ってすぐ、相手は大抵ちょっと焦り気味で早口で捲し立てて来るのだが、こちらがゆったり低速で対応すると、向こうも自然とそうなっていく不思議。電話をかけてくる方も不安なんだなと思った。

出る電話出る電話、とにかく優し〜〜い声色を出した。優しげな声色一本槍で受け切った、と自分では思っている。愛想だけは良いと言われてきた自分にはこの一本槍しか持ち得る武器が無いのだった。

実店舗にて接客販売の仕事だもんでね、その傍らやりましたよ。ギリギリの状態で、対面のお客さんにも優しい声色で。ワンオペでなぁ、やったんだ俺は〜〜〜〜。

 

そして退勤。

酒呑んでタバコ吸って、さっきまであんな優しげな声色で囁いて(?)いた奴のプライベートだとは思うめぇやなぁ。

 

愛想なんか振り撒く必要など無いと思う人もいるだろう。だが、もし自分が愛想悪く、いや、悪いだけならまだ良いんだけど、イラつきが前面に出た態度でなにがしか対応されたら気分が悪い。自分はそういう人に対応されたら執拗に記憶する不気味で執念深い人間だ。そんな人間がここに1人存在するということは、同じような人間が確実に複数存在するに違いない。怖い。自分と同じような人間に、執拗に記憶されたくない。

だから、自分を守るために愛想良く、優しげな声色の一本槍を鋭く研ぎ澄ます。